E.N.R. クリプトモネダス

"Everybody Needs A Retreat." - 雑記帳

仮想通貨とAIの怪しい関係

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ビットコインは巨大AIネットワークの構成要素

( 2018.6.8加筆)

今回は文字ばかりの投稿になる。興味のある人には興味深い話だと思うので、探求のきっかけに利用してもらいたい。 

マネーボイスというサイトに気になる記事を見かけた。

かいつまむと、ビットコイン、その拡張としてのイーサリアムブロックチェーンは、世界中のAIを相互連結してひとつの巨大AIネットワークとして稼働させるための基盤技術なのだという。

通貨機能はそのほんの一部に過ぎず、世界中のAIのネットワーク統合が最終目標だというのである。

http://www.mag2.com/p/money/343853

統合した先には、巨大なバーチャル脳が出現する。このバーチャル脳は、人間の思惑を超えて、それ自身の「意識」のようなものを生むかもしれない。

 

クイン・マイケルズ

にわかには信じがたい話なので、検証のため、記事に出てくるクイン・マイケルズ氏(Quinn Michaels)の動画をYoutubeで何本か観てみた。

マイケル氏はいわゆるナード(コンピューターオタク)のひとりでIT業界の裏事情にやたら詳しい。大学でもAI回りの勉強をしてきた人のようだ。

 確たる物としての証拠がないので断定はできないが、論理的帰結としてはありえる話だと思った。陰謀論と捉えられがちな分野だが、今後の世界の覇権をめぐって、政府・軍を巻き込んだビッグビジネスの尻尾をつかまえた、という感じがしないでもない。

 彼の "リサーチ" の結論はかなり衝撃的だ。これはAIをめぐる世界的覇権争いなのだという。

以下、簡単にポイントを挙げてみる。

 

ビットコインの出自はダークウェブ

ブロックチェーンはダークウェブ(dark web)で開発され、非合法取引の決済手段として発展した。

インターネットにはグーグルやヤフーのインデックスに登録されないアンダーグラウンドなサイトが、通常のオープンサイトの数百倍規模で存在し、両者をまとめてディープウェブ(deep web)と呼ぶ。

この辺りの事情について興味のある方は以下の記事を参考にしてほしい。

https://inforium.nttdata.com/trend_keyword/266.html

https://the01.jp/p0001982/

 ビットコインはダークウェブの危ないお金のやりとりに使われていた(いまでも使われている)が、2014年頃から一般の投資家も参加するようになったのだという。

 

ビットコインはAIと天才エンジニアの産物

ブロックチェーンの開発に携わったのはベン・ゴアールツル(Ben Goertzel)という人物で天才的なAI科学者だという。先ごろサウジアラビアの "市民権" を得たAIロボット "ソフィア" の生みの親だ。しかし開発といっても細部の設計はAI自身が行い、人間は修正・最適化担当らしい。

サトシ・ナカモトは原案を出したかもしれないが、実質的な開発はゴアールツル氏周辺が行った。発明者が表に出られないのは、ビットコインの出自に後ろ暗い部分とともに、とてもオモテでいえない計画があるためなのではないか。

後述するように、ゴアールツルはいま、AIの相互接続に向けて動きを強めている。

 

パランティアという国策企業

パズルのもう一つの主要ピースがパランティア(Palantir)というビッグデータ解析企業である。

Palantirという単語は、トールキンが『指輪物語』で創作したフィクション言語Quenya語で「遠視」(すべてを見通す水晶玉)を意味する。

以下の記事から会社の概略を引用しよう。

https://www.principle-c.com/column/global-marketing/palantir-technologies/#__1084208987.1512789175

もともとパランティア・テクノロジー社は2004年にスタンフォード大学のおひざ元のパロアルトでAlex Karp氏(アレックス・カープ)が創業し、PayPalの創業者でもあるPeter Thiel(ピーター・ティール)も参加するかたちで始まりました。
もともとPaypalは決済を行う会社として世界中のクレジットカード決済を扱っていたわけですが、その中でカードの不正利用や不審なお金の動きを感知するシステムがあり、その技術をコアに「情報を集め、分析し、テロや不正防止に役立てる」というところからサービスは始まったようです。
実際に最初の顧客は米国CIA(米国中央情報局)であり、同時に資金と技術提供も受けていたそうです。その後も国の重要機関からの発注を受けていたそうですが、それがゆえに対外的には顧客名やサービス内容等含め秘密にされてきた経緯があるといわれています。

Palantir社長のアレックス・カープは、PayPalマネーロンダリング対策として、トランザクションのパターンから不正送金を見抜く技術を開発し、これにテロ資金の流れを掌握したいCIAが注目したという経緯。つまりITと国策の合作企業というわけだ。

キーパーソンはPay Palのピーター・ティールである。この人、初期から仮想通貨に関わっている。イーサリウムをつくらせたのも彼だ。

 

SingularityNetとシンギュラリティの意味

ゴアールツルはSingularityNetのCEOとして、いまAGIトークンのICOを行っている。会社の創設趣意は世界中のAIが共通で使えるオープン・プラットフォームの構築である。

プロトコル(スマートコントラクト)、トークン、API、マーケットの4層(レイヤー)でAI間の相互運用(interoperability)を可能にする。

 ITジャーゴンのかたまりだが、要は世界中の大学・研究機関、民間企業、金融機関などで個別に稼働しているAIを相互に結んで巨大なAIネットワークを構築するという意味になる。

イーサリウム上で稼働するトークン名のAGIとはArtificial General Intelligenceの略称で、AIより上位の汎用AIという概念だ。AIをネットワーク化することで相乗効果以上の"何か"をつくりだそうとしているのだ。

 あまり長くなってもいけないので大筋だけ搔いつまむと、この "何か" の部分でPalantirとSingularityNetがつながってくる。

 

政府系と民間系のスクラム

Palantirは政府系からのアプローチであり、SingularityNetは民間系からのアプローチだが、両者を統合すれば、裏も表も含めたインターネット全体を統制もしくは監視することが可能となる。

 

非中央集権とトラストレスの本当の意味?

仮想通貨の世界でいわれている "decentralized" や "trustless" の本当の意味はおそらくここにある。

  • まず政府を介さないということは、課税されない新たな経済圏の創設を意味する(タックスヘイブンなど過去の遺物になる、スイスが仮想通貨系に乗り気なのも、プライベートバンクの未来を見据えた生き残り戦略か?)。
  • 次に金融機関などの中抜き業者の排除は、PalantirやSingularityNetが金融機関のかわりをするということだ。

今後、IoTや各種自動化技術などを通じて実体経済(リアル経済)がネットとのつながりを深めれば、主導権はAIネットを統制する側に移る。

彼らは、この新時代の "AI化国家" のインフラ作りを進めているのである。

 

AI戦争の先にあるAI国家覇権争い

こうした与太話にも聞こえかねない計画がなまじウソとも思えないのは、アメリカ側の動きに焦りが感じられるためだ。どうも後手後手に回っている印象がある。

中国がやたらとAIにカネを投じているのも気にかかる。

 

ロシアの思惑とアフガニスタン

直近のニュースで言えば、サウジとイスラエル周辺が騒がしくなっている。サウジで有力な王子が排斥された。サウジはゴアールツルが開発したソフィアというAIベースのアンドロイド・ロボットに "市民権" を与えた。

リヤドでシンギュラリティ国際会議が開かれ、ティールが基調講演を行った。トランプとサウジ国王がその場でオーブ(地球支配の象徴の光る球体)に手をかざした。エルサレムを公式の首都認定して大騒ぎになっている。

こうした一連の動きに先駆けて、ロシアは国家が管理するクリプトルーブルの発行を決めた。1990年代には、プーチン主導のもとアフガニスタンが首都を遷都し、人工的な巨大都市アスターナ(Astana) を建設している。

ここは「ウラニウムの世界首都」(world capital of uranium)と呼ばれるように軍事研究開発拠点でもある(北朝鮮の核にも当然絡んでいるはず)。

中国が一路一帯政策を看板に、そのアフガンへの接近を強めている。 

 

キナ臭い動き?

軍事ということは、当然のことながらインターネット(AI)や通貨(暗号通貨)と無関係なはずがない(深入りは避けるが、これに対抗するアメリカの秘密軍事開発拠点はラスベガス周辺なのだという)。

 透けて見えてくるのは、アメリカ=イスラエル=サウジ連合vsロシア=アフガン=中国連合の軍事的・地政学的覇権争いである。

 

アフガンAstana=Capitalのシンボリズム

ここは語学サイトではないが、興味深い話なので関連情報として書いておく。

Astanaの語源はカザフ語でcapitalの意味である。Astanaはペルシャ語Astaneから来ている。Astaneは聖なる者の坐す場所の意。

2008年、ヌルスルタン・ナザルバエフ大統領にちなんで、"Nursultan" への改称が検討されたが、大統領自身が案を退けたという。いずれにしても、Astanaということばは汎用的な意味で、日本でいえば、東京を単に「みやこ」と呼ぶような語感だろう。

このニュートラルな感じが人工的でキナ臭い。

 

キャピタルの本当の意味

ちなみにcapitalという英語、首都であるとともに資本を意味する。なぜか?

capitalはcattle(牛)と語源を同じくするが、牛は牛でもその切断された頭(日本でいえば首)のことなのだ。昔は牛の首が富の象徴だったからだ。

牛を神への犠牲に差し出すのは、キリスト教以前の、古代オリエント以来の伝統だった。キリスト教会がどんなに綺麗ごとで仮装しても、古代宗教の記憶はことばの中に息づいている。

ここからcapitalismというものを考えれば恐ろしい語感になるではないか。資本主義ではなく牛首主義、「どれだけ犠牲の数を誇れるか主義」ということになる。

いったい誰が、誰に捧げ物をしているのか?そもそも誰が神なのか?

 

アスタナの行方

将来、ナザルバエフの死後、Astanaが「ナザルバエフの都」になるのか「プーチンの都」になるのかは不明だ。しかし、こういうシンボリズムはバカにできない。支配層というのは必ず宗教絡みの心性を有していて、象徴が大好きな人たちだ。

表面上はいかに民主化していようと、人間の奥深い部分には古代と同じ暴力と犠牲を伴うパワーゲームが渦巻いている。

究極的には神にすがるか(何かに依存するか)、自分が神になるか(誰にも依存しないか)、この二択だ。当然、Astanaに賭ける連中は未来の神の座に就くつもりだろう。

 

 

AI回りの話は今度こそ与太話で終わらないだろう

AIはある意味、古くて新しいトピックだ。10数年前にもブームがあったが、やがて鳴りを潜めた。しかし今回は動いているプレイヤーが世界規模であり、もはや引き返せないレベルまで来たと見ていい。

兵器やお金が絡んでくれば本物だ。

ビットコインが2017年あれだけ派手なパフォーマンスを挙げたのも意味ある話なのだろう。単なる投機的思惑ではなく、以上述べたような世界的覇権争いを見据えた先行投資なのかもしれない。

 

ソーシャルメディアの裏の意味

そもそも論になるが、ツイッターフェイスブックなどのソーシャルメディアとはいったい何なのか?なぜ急速に普及したのか?

なぜアラブの春などで大きな役割を果たしたと伝えられ、その後、何も騒がれなくなったのか?

巨大なデータ監視網であり、巨大な世論調査手段なのだと考えれば納得がいく。AI(あるいはAIにつながったネットワーク)が、人間というものを集合的に学習する上で、他に代えがたいビッグデータ、教材なのだろう。

プラットフォームさえ提供すれば、人々は自発的にデータを提供してくれる。

何かリサーチしたければ、バズらせればいい。リアルタイムで膨大な反応、その傾向、効果などが収集・解析できる。

 

AIは人間を集合的に捉える

AIにとって個々の人間は重要でない。個々の人間の集積としての習合データが重要である。ソーシャルネットから吸い上げられる集合的な感情や思惑を学習すれば、人類の類としての行動パターンや思考パターン、感情の揺らぎを定義できるようになる。

平時の場合のデータ、何か恐ろしいことが起きたときの反応や拡散規模のデータ、それらを収集し解析することで、年齢、人種、国籍、職業、性別など様々なパラメーターを介して、状況に応じた人間性を解析できる。

 

集合情報の値打ちに政も官もないない

ビッグビジネスのみならず、政府のメリットは計り知れない。今後の政治統治のあり方、情報操作のやり方、戦争の仕掛け方、ありうべきセキュリティ対策等々のコンフィデンシャルな情報が、解析結果とともに時々刻々AIネットから上がってくる。

為政者や企業幹部は意思決定をすればいいだけである。

あまり陰謀論めいたことは語りたくないが、以上を裏返して考えれば、AI運営側は、恐怖イベントを起こせば想定通りの結果が得られるかどうかの "実証実験" も行える。

たとえば、ついこの間(2018年5月)も米朝会談キャンセルのニュースで株価の反応を調べていたように感じる。

あるいは、○○というイベントを起こした場合、社会はどう反応するのかを事前に調べておくことができる。テロに見せかけた邪魔者の排除にうってつけだ。

国防関係者や諜報機関が放っておくはずがない。

 

合法的な負債償却手段?

そこにお金が絡めば、将来は、中央銀行や金融機関が積み上げた返済不能な隠れ負債を、AI国家の仮想通貨帳簿へ付け替え、事実上、消滅させることができるだろう。

リーマンショック以降の株式相場を見ていていつも感じていたのは、当局や金融機関が一貫して醸し出している気味の悪いコンプラセンシー(complacency)だった。

CDSスワップなどから発生したはずの天文学的負債はどこへ消えたのか?確かに負債など現代では電子信号に過ぎない。とはいえ、一応会計法は存在する。

にもかかわらず、みな確信犯的に暢気に構えていた。

もしその暢気の背景に、以上述べてきたような計画、新しい統治システムへの移行が着々と進行していたのであれば、さもありなんである。

返す必要のない負債に怯える必要はない。むしろ将来カネになる事業にシコシコ投資していた方がお得だ。なんせ政府のお墨付きなのだから。

 

人工知能から人工意識へ、最後は創造主へ?

政治を離れた文脈においても、現在のシンギュラリティはブロックチェーンを基盤として巨大なAIネットワークを構築することで、AGI(Artificial General Intelligence)という汎用知性を生み出すことが初期目的となっている。

 

データサーフィシング

それは情報管理やビッグデータ解析の側面もあるが(実際、パランティアでは従来のデータマイニングはダメ、今後はデータサーフィシングだと言っている)、究極的には、人間が "神" になるために踏むべき主要ステップのひとつとして捉えられているのではないか。

異種AIの連結により、AIネットワークに人間の "意識" に相当する自律的な思考や意思がAIに生まれるか否かが計画の焦点なのである。

データサーフィシングとは、ばらばらで相互関連の薄いようなデータ群、あるいは時間とともに大きく性質を変えるようなデータ群、ひとつの意味ある情報としては扱いにくいこれらのデータ群から、蓋然性の高い関連性を見つけ出すプロセスのことらしい。

まさにソーシャルメディアに吸い上げられたデータの解析、ダークウェブを行きかう情報の解析に相応しい発想ではないか。

 

汎用知能から意識の創世へ

個別AIの開発元はMITやスタンフォードなど錚々たる研究機関だ。個別の能力はともかく、それらが相互にインタラクションするようになれば、どういうことになるのか人間は誰もわからない。

その際、人間は創造主の神というより、創造の素材をつくり、創造作用のきっかけをつくるエージェントのような存在に過ぎないわけだ。少なくても現時点では。

また、AI→AGIの次ステップとして人工意識(AC: Artificial Consiousness)があることは疑いようがない。

ただし、現時点では決定的なアプローチがない。数理化によって意識が生まれるという証拠はどこにもないからだ。だからこそ、AI相互連結で偶発的にでもいいから「意識」を発生させようとしているのかもしれない。

仮に遠くない未来ACが生まれれば、それは、

  • ACをインターネット上へ統合する方向
  • ACを格納するボディ(もしくはそれに類した格納手段)を開発して、人造人間の製作そして人間の不死化へ歩む方向

の大きく2つの方向へ発展していくのだろう。

 

キーパーソンはピーター・ティー

クイン・マイケルズ氏はいっている。彼がリサーチを続ける中、主に投資行為を通じて重要プロジェクトに必ず関わっている人物がピーター・ティールだ、と。

ティールは一般にはPayPalの共同創設者として有名だが、以前、ビットコインやイーサリウムはPayPalで挫折した "新しい貨幣システム" の夢を実現してくれる可能性があると言明している。いまも、仮想通貨全体のエバンジェリストとして忙しい。

マイケルズ氏によれば、彼の追っかけているAIプロジェクトとブロックチェーンは同じメリーランド州の、とある大学の研究ラボで誕生したもので、根っこはひとつということだ。

ティール氏は初期のビットコインにも、ブロックチェーンの発展形としてのイーサリウムにも、仮想通貨取引所の立ち上げにも絡んでいる。

 

まとめ

AIをネットワーク化するのは、政治的には次の覇権をとるためである。科学的にはAIに意識や意思が発生するかどうかを実験するためである。

アメリカ側から見ると、AIの興隆は後手を踏めば踏むほど非常にアメリカの立場を危うくする。自分たちの与り知らないところに巨大なブラックボックスができ、統治の対象外になってしまうからだ(米帝としてはあってはならないこと)。

ましてや、ロシアや中国側の勢力がAIネットの主導権を握れば、世界政治の流れは完全に変わってしまう。

その意味で政官財三つ巴で、AIや仮想通貨の覇権争いが静かに進行しているのである。

またしても、といえばいいのか。キャスティングボードを握っているのは、一見蚊帳の外にいるかに映る日本なのではないかと感じる。